<2004.7.25> 出水の中 源流の岩魚は
・・・快晴そして?・・・


<沢は土砂流失>
勢夏のざわめきは 未だ闇の中に息を潜め 

落水の音のみ響き渡る  激しい瀬音に導かれ

酔いと寝不足が入り混じる 朦朧とした意識の中

渓へと続く路を辿る。

流れの素顔が徐々に明らかにと成り出す中 

見覚えある 其処かしこのたたずまいは 何かを

伝えたいかの様に ザワザワと騒がしい

ここ数日各地に起きた ゲリラ的集中豪雨は

この地にても 深き爪跡を残して行ったのか??

路は足元で寸断され 暗闇の先に在る筈の橋も流失 たおやかだった谷は荒々しく豹変してしまったのかもしれない

人間との関わりを拒否続けたこの渓の魚達は 怒涛の水圧に立ち向かい耐え続ける事が果たして出来たのだろうか


明確な魚信は未だ伝わらない 茹だるような夏日が続くこの地にても 流水は身を切る様な冷たさだ  魚達は

一層気難しさを増したのか? 或は増水に向け岸寄りに避難 過ぎ去った喧騒にも気付く事無く 放心状態とか?

いや奴等 そんな軟な手合いじゃぁ無い筈  流れ出た堆積物の臭気を感じながら 遡行は続いて行く。

<源流部の小岩魚>

グイッ! 落ち込み向け引き込まれる目印へ

条件反射で返った手首 バシャッ! 魚は

二度三度と 平瀬を駆け回り 抵抗を試みた後

難なく寄った 岩魚だ! 抜き上げず その姿を

眺め続けて 『よぉ 元気だったか』 左手に握る

ラインを少し緩めてやると クネクネ身を捩り 軽く

首を振ると鍼は外れた。  傍らの私を気に止める

でもなく 其のままの位置で ユラユラ泳ぎ続ける

呑気なもんだ 『おい 早く帰れよぉ』 竿尻で突付

いてやると ふんうるせぇな とばかりゆっくり動き

出し まるでコマ送り画像のように深みに消えた

四駆を駆り 奥の林道へと乗り出す 僅かな水量で チロチロ落ちる源流藪沢を 皆で覗き込んでみた 多くの魚影が

岩と岩の間を出たり入ったり 或は素早く横切ったりで 『おっ 居るぞぉ』 『あん 岩魚かぁ』 『うん 柄あるぞぅ

子供のようにはしゃぎながら 多くの源流に岩魚の姿を確認していく。

どぉぉぉぉん! 号砲と共に 快晴だった夏空は激しいスコールとなり 追い出される様に 移り気な渓を後にする

あちぃで 一雨欲しいなぁ』 誰かが発した軽口のために。

                                                            oozeki

<このreportの関連画像は ぎゃらりい[にあります。>